抗真菌薬のゴロ(下品ですいません…)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 

抗真菌薬のゴロ
「ミカのアナにトリコ。フルチンでナゾール」

  1. ミカファンギン(βグルカン=細胞壁、合成阻害)
  2. アムホテリシンB(ポリエン系、細胞膜を破壊)
  3. ナイスタチン(ポリエン系、細胞膜を破壊)
  4. トリコマイシン(ポリエン系、細胞膜を破壊)
  5. フルシトシン(DNA合成阻害)
  6. アゾール系=ミコナゾール、フルコナゾール(エルゴステロール=細胞膜、合成阻害)

 

 

真菌は人間と細胞構成が似ているので、攻撃がしずらい(T_T)

 

1.ミカファンギンは、真菌の細胞壁の合成を阻害します。人には細胞壁が無いので、抗菌薬のように人体への副作用が少ないです。しかし、この細胞壁成分をもたない真菌もいますので、使用が限定的になります。図では、リボソームを標的としているように書いていますが、これは便宜的に「合成阻害」を覚えるためのもので、本来の攻撃対象のβグルカン合成酵素は細胞膜に埋まっています。

2〜4.のポリエン系は真菌はエルゴステロールを壊します。人間の細胞膜にはコレステロールがありますが、真菌の細胞膜にはエルゴステロールがあります。抗真菌スペクトルが広く、多くの全身真菌症に有効です。エルゴステロールは人体と似ている構造なので、副作用が強く、「腎毒性」など問題となり、使用が制限されます。

5.フルシトシンは、抗癌剤の5-FUのように、ヌクレオチドアナログ(DNA塩基の偽物)で、DNAの合成にまぎれこんでストップしてしまいます。シトシンの偽物なんですが、真菌内に取り込まれると5-FUとウラシルの偽物になり、真菌のDNA合成をストップさせます。「骨髄毒性」があります。

6.アゾール系は、エルゴステロールの合成を阻害します。ミコナゾールやフルコナゾールなど名前が覚えやすいです。エルゴステロールの合成酵素が攻撃対象なので、副作用の強いポリエン系よりも、使いやすく、抗真菌スペクトルも広いので、よく使われます。ただし、次に述べるようにシトクロムP450を阻害するので併用薬剤に制限がかかるのが難点です。

 

アゾール系はシトクロムP450阻害もある!

また、アゾール系はシトクロムP450を阻害し、同じ酵素で分解される薬剤の作用を増強させてしまいます。

薬理学のお薦めの参考書

薬理学のお薦めの参考書です。上に書いたイラストもここに載っているのがわかりやすくてモディファイしました。是非一度図書館で開いてみてください!

【薬理学】

ハーバード大学講義テキスト 臨床薬理学 ★★★★

この本がなければ複雑な薬理学を整理して理解することは不可能だったと思います。イラストがわかりやすくシンプルで薬や受容体との関係など直感的に掴めますし、文章・翻訳も自然な翻訳でぐいぐい読み進められます。アセチルコリン受容体とコリンエステラーゼやアドレナリン受容体など歯科でも必須のところをかなりわかりやすく説明されています。
ハーバード大学の医学生たちがまとめたものが元になっているようです。臨床的な応用の話から、薬理の細かい機序まで超絶わかりやすい図と説明で一気に解説されています。
僕はこれの第二版を持っていますが、それでも十分すぎる内容でした。最新のものはフルカラーになったということで、早速新しい物も頃合いを見計って手に入れたいと思っています。図書館にも置いてあると思うので。一度読まれてみてはいかがでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*