アピカルシート・カラー・ストップがややこしい

この問題を解いてください。

107A-58
アピカルシートの目的はどれか。1つ選べ。
a 側枝の封鎖
b 歯根破折の防止
c マスターポイントの保持
d コロナルリーケージの防止
e マスターポイントの逸出防止

正答 e

Cのマスターポイントの保持、で間違った人が多いかもしれません。これは「アピカルカラー」の目的ですね。アピカルシート=アピカルストップは、根尖部に付与する狭窄部なので、マスターポイントが外にでないように止めておくためのものです。

問題文が「アピカルストップ」で選択肢の「e」が「a」の位置においてあったら、もっと正答率が上がっていたでしょう。

Apical seat

アピカルシート・カラー・ストップがややこしい

このあたりの用語が本当に面倒です。シートとカラーが特にイメージつきません。以下のようにイメージすれば一発で覚えられます。

Apical seat2

アピカルシートの「シート」は「座る」ガッタパーチャが座るための構造です

上図のように、アピカルシートの「シート」は「座る」ガッタパーチャが座るための構造です。英語でseat。当然、座れれば、根管口よりも外に行かないように「ストップ」できるので、「アピカルストップ」も同じ意味の言葉になります。後で説明しますが、これは「抵抗形態」です。

パーシャルデンチャーで「レストシート」というのもありますね。この「シート」も「座る」の意味で覚えるとよくて、「レスト」が座る(=シート)ための構造というわけです。部分床義歯にかかる咬合力=垂直的な力を支える、支持するための「レスト」が歯に収まるために、スプーン型にレストシートを形成します。前処理です。

アピカルカラーの「カラー」は「襟=えり」です

アピカルカラーはガッタパーチャのための襟です。英語でcollar(画像検索:https://goo.gl/i3FqVK)。ワイシャツの襟って、首にぴったりくっついて、首を保持しているじゃないですか。犬の首輪のことも英語で「collar」といいます。保存修復で「保持」といったら「とれないように押さえておく」ということです。だからアピカルカラーは「保持形態」です。

Apical seat3

根管の形成にも「便宜形態」「保持形態」「抵抗形態」がある

Blackがつくった窩洞形成の5要素に

  • 便宜形態
  • 保持形態
  • 抵抗形態
  • 窩洞外形
  • 窩縁形態

がありますが、根管形成にはそのうちの3つ

  • 便宜形態
  • 保持形態
  • 抵抗形態

が存在します。それぞれ

  • 便宜形態=フレア形成:ファイルが動きやすくするために、便宜的に、、
  • 保持形態=アピカルカラー:マスターポイントをしっかりと掴んでおくためにぴったりの形の空洞をつくる
  • 抵抗形態=アピカルシート:充填時にガッタパーチャがもれないように、また根尖が壊れないような形を作っておく

という対応があります。

こちらもしっかりと覚えておきましょう。

乳歯と永久歯の根管治療の違い

また小児の過去問で「乳歯の根管治療で行わないのはどれか?」という領域横断的な問題がでました。

107C-75
根安定期の乳歯と根完成永久歯の歯内療法の手技において異なるのはどれか。2つ選べ。
a インピーダンス測定
b 根管長測定
c 根管拡大
d 根管形成
e 根管充塡

正答 d, e

乳歯では、永久歯の萠出にともなって、歯根が吸収されますので、ガッタパーチャで根充するとそれが残ってやばいことになります。よって、乳歯の根充は、「水酸化カルシウム系」「ヨード系の糊剤」を使用します。これらは自然と生体に吸収されていくので、永久歯が生えてくるのを邪魔しません。糊剤は、カルシペックスみたいに、シリンジで注入するだけですので、マスターポイントをしっかり捕まえておくための、アピカルカラーを形成する必要がありません。つまり、根管形成の手技が違ってきます。
Apical seat3

本日は以上です。

歯内療法おすすめの本

新歯内療法学サイドリーダー 学建書院 2013 ★★★

サイドリーダーでは、この歯内療法の本が群を抜いておすすめです。イラストが丁寧にかかれていて、教科書の文章読んで頭のなかでイメージするしかなったような処置の様子が、ああ!こんな風にするんだ!という箇所が多く、勉強になりました。3,4年生でこれから学ぶ人も、6年になっても歯内療法が苦手!という人も、まずはこの本をみておくと入り口からスムーズに入れて、その後の知識をきちんと積み上げていけそうな気がします。

歯内療法のケースアセスメントと臨床根管形態からみる・ストラテジーを選ぶ 興地 隆史 (著) 医歯薬出版  2013  ★★★

エンド界のドン!といえば、この方、興地(おきじ)先生です。国家試験の問題作成もされていますし、学会的にもかなりの重鎮らしく、うちの先生は「日本の歯内療法は興地先生を中心に回っている」ともいっていたぐらいです。。。

エンドは、臨床系の専門書を開くと本当に有象無象の世界というか、何が正しいのかさっぱりわからなくなってしまいます。流派が乱立しているというか、これといった大正解的な方法がないのが歯内療法の特徴でもあると思います。しかし、国家試験は違います。教科書に書いてあることが正解となります。医歯薬出版の教科書が神で、そこに載っていることが正解とされます。

興地先生はこの教科書ももちろん、教科書系の本では必ず上の方に名前があります。その興地先生の単著とあれば、その重要さ具合がわかると思います。いわゆる新問といわれるような新しい傾向のものは、このような臨床系の専門書をカバーしておくのがその対策としては妥当に思われます。Ni-Tiだったり、根管洗浄だったり(昔はスタンダードだったNaOClとH2O2の交互洗浄ではなく、今は、、、)そのあたりの臨床的な手順や道具、方法もこの本のものをイメージできるようになれば国試の臨床実地問題で迷った時に正しい方角に自然と足が伸びるようになるんだろうな、と思います。

エンドドンティクス 第4版 興地 隆史 ほか 永末書店 2015 ★★☆

教科書系では一番この本が新しく写真が豊富でわかりやすいです。歯内療法の基礎的なことから、Ni-Tiについての記述もわかりやすかったです。

歯内治療学 第4版 医歯薬出版 2012 ★★☆

国家試験のバイブル、医歯薬出版の教科書シリーズです。もしまだ買ってなかったり持っていない場合は、かならず国家試験の勉強を本格的に始める前に買っておきましょう。その時の最新版を。過去問で間違った、この用語がわからない、そんなときはまずこの本を開いて、前後の文脈含めて呼んでみることをおすすめします。実践の解説よんでるだけでは知識が断片的になってしまいますからね。。。

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